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    | タイトル | ミコノスの花嫁 |  
    | 目的地 | ヨーロッパ > ギリシャ > その他の都市 |  
    | 場所 | ミコノス |  
    | 時期 | 1992 年 10 月 |  
    | 種類 | 景色 |  
    | コメント | −−事実、翌日から彼女は何事も無かったようにいつものように胃腸を慈しんでいた。 ミコノスの宝石店「ブルガリ」で、またまたギザの香水屋での再現かのように、 「えーと、どうしようか?買おうか?ねえ・・・母さんとか姉さんのお土産、これはええとねえ、どれにしようかちょっと、うーん、はやくあなた決めてよぉ」私ばかりか、ギザの妖怪店主とは似ても似つかぬ根のやさしそうなサファイヤブルーのしい瞳の持ち主にして、日本語が上手な老マダムを困らせ続けた。
 私がすでに彼女へのプレゼントとして買ってあげていた指輪と同じドルフィンのタピストリのブローチを購入するのにたどりつくまでには、三者三様の立場で疲労していた。
 日本人の祖父をもち、5ケ国語をあやつるというドイツ系老マダムが、
 「食事をするならこの店の通りを真っ直ぐ行った場所にある海辺近くの「ニコス」という店のお魚料理がおいしくてお勧めですよ」
 と、日本では遠い昔に忘却されたような美しく流暢な日本語で教えてくれた店へ行ったが、彼女は仕切り直しとばかりに蛸のマリネやイカリング、タラモサラダ、イ
 サキのような魚のグリル、羊のチーズが乗ったギリシア風サラダ、ポークスブラ
 キ、と供される皿を次々と片づけていった。目の前で展開されるのはスプラッシュ映画よりタチ悪い。
 目の当たりにして−明日はまた休胃腸日になるぞ−という私の予感は見事に外れた。
 翌日はベネチアポートの海辺にテラスがある「アルフカンドラ」で、暑い日差しを逃れてテーブルの下にもぐり込んできた熊のようにでかくて黒々した犬に怯える私を尻目に3人前でも充分ありそうな魚のスープ、魚のグリル、鶏のオリーブ炒め、私が注文した何とも不味かったキノコのスパゲッティ、そしてサラダを片っ端から片づけた。
 
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