メッセージを送る 


<<      14   15   16   17  18   19   20      >>

アンボセリの夕焼け
アンボセリの夕焼け

タイトル  アンボセリの夕焼け
目的地 アフリカ・中東 > ケニア > その他の都市
場所 アンボセリ
時期 1998 年 9 月
種類 景色
コメント 遅めの昼食でお腹はペコペコであったが、早々に切り上げ、Mに私の膨大な荷物の番を命じ、切手を求めて売店を探すことにした。
Mに車中で読み聞かせた、アンボセリで書いたハガキをここから出すつもりでいた。
 雨は小降りになってきた。
かわって、薄い霧があたりを覆いはじめていた。冷気はますます肌に突き刺すようだ。
ホテルの半地下に売店はあった。
8畳ほどの広さのこじんまりした店だ。
「ジャンボ・ブアナ(こんにちは)」
「ジャンボ」彼女も微笑んで応答する。
スワヒリ語で知っているのはこれくらいだ。
カウンターにいた女性にハガキをみせる。
しかし、私は決定的な過ちを侵していたこと、その夜、アバーディアのホテルの部屋で暇をもてあましてパラパラとページをめくって眺めていたガイドブックにより知った。
「ブアナ」は「男性」への称号で、「女性」に対しては「ヒヒ」になることを―――。
つまり、女性への挨拶は「ジャンボ・ヒヒ」が正しい。
そのとき私はそんなことも知らずに必要以上に愛想を振り撒いて切手を買った。
 売店からロビーのレセプションに向かう。
「ジャンボ・ブワナ。ハバリ・ヤコ?(ご機嫌いかが?)」ボーイが愛想を振りまく。
ケニアでは、この陽気な印象のある「ジャンボ」でなにもかもが事足りそうな気がする。
「ンズリ・サーナ(いいですよ)」
このハガキをレセプショの男に渡すのを一瞬ためらった。
あまりにも空々しい内容だったから(笑)。
もう一度、読み返してみた。
『――子どもたちは元気にしてますか?
 迷惑かけるけど、私は充実した毎日を送っています。
 昨日、厚い雲の切れ目に雪を戴くキリマンジャロの山頂と
地平線に沈む夕日を見て、
 ―夕焼けに溶かし込む様々な邂逅―が濃縮され、
涙がでそうになり、(もちろん流したけど)感動しました――』
しかし、結局、次に向かったホテル、カントリークラブのレセプションでハガキをだした。
美化された心象風景もまた「旅の真実」であると、思い直してみたのだ。
 アウトスパンのホテルを出ると、いつのまにか深い霧がすべてを包み込んでいた―――。

<<      14   15   16   17  18   19   20      >>




コメント


トラックバック
トラックバックURL
http://www.trave-l.com/modules/tbAny/tb.php/5958