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ジャンボブアナ
ジャンボブアナ

タイトル  ジャンボブアナ
目的地 アフリカ・中東 > ケニア > マサイマラ
場所 マサイマラ
時期 1998 年 9 月
種類 景色
コメント マサイ・マラ目前の給油所で、再びいつもの4人になり、違う意味での地獄を味わっていた。
フランクは飛ばし屋だ。
すでに舗装された道は途切れていたが、アンボセリへの道中と同じくアクロバチックな運転技術を駆使するフランクなのである。
赤い土が埃を巻き上げ車内に進入してくる。
もうこれ以上、臀部がもたん、というところで車は急停車した。
 フランクが外に出るように告げ、涙目のまま外にでると、テレビでよく見かけたことのある牛糞などを塗り固めた家が眼前にあった。
マサイ族の村だ。
マサイ族の村を訪れる―――この、とても俗っぽいオプションツアーを私はすっかり忘れていた。
「ここに来たかったんや!」私は力拳をみせながらMに言う。
「またかいな・・・・・」Mはただ、ただ飽きれるばかりだった。
マサイ村は、藪で作った塀をくぐると円形の広場があり、その広場を囲むようにして牛糞と泥で固めた家が連なっている。
このような集落をニヤッタという。首長中心の大家族集団だ。
マサイ族などナイロ・ハミティック系民族は牛を追って遊牧生活を送るので、一ヶ所に留まらない。だからか、家や集落はとても簡素だ。
槍と盾を手にしてサバンナを素足で駆け巡る男たちは、マンガの世界さながらに、猛獣たちと共存しなければならない運命だ。勇敢な戦死はモランと呼ばれる。
日中、男たちは草を求める牛を追いつづけるので、集落を守るのは老人と女だ。
しかし、今回私たちが訪れた集落の広場には、女子どもばかりか大勢の若い男たちも家の日陰で退屈そうにお天道様を眺めていた。
観光収入に味をしめた堕落してしまったモランたちなのだろうか?
「ジャンボ。ハバリヤコ」藪の門をくぐり、広場に入る私たち4人の姿を見るや否や男たちが寄ってきた。さっそく家のなかを案内してくれるらしい。
英語が達者なマサイの青年に先導され、一軒の家に入る。
この大家族の首長は8人の妻がいるという。つまり、村民みな兄弟だ。
家の中は、もちろん電気も届いていないため薄暗く、よく目を凝らすと3つくらいの部屋に泥壁で仕切られてはいたが、中央の部屋が土間兼寝室といってよい。
しかも、この部屋でさえ3畳足らずの広さだ。
風通しのよい造りとは決していえないが、糞と土づくりのためか、とても涼しく感じる。
逆に夜は糞が熱を貯めるため、暖かくなるだろう。
案内された家の女は不愉快そうな顔を変えることはなかった。
私は早々にサバンナでよく見かけたアリ塚そっくりのこの家を出て、子どもたちと戯れていた。
関西の3人組は広場から奥にある家畜用の広場へ案内されていった。
家畜用の広場は、青空露天市に早変わりしていたのだ。
自給自足が原則のマサイさんたちも、昨今は何かと現金が入用らしい。
この集落をはじめ、マサイの伝統様式も変わりつつあるのかもしれない―――。

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