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マサイマラのキリン
マサイマラのキリン

タイトル  マサイマラのキリン
目的地 アフリカ・中東 > ケニア > マサイマラ
場所 マサイマラ
時期 1998 年 9 月
種類 景色
コメント 女性コンビばかりが私のところへ入れ替わり立ち替わり、日にジリジリと焼け焦げつき、赤く黒ずんでいく「焼き豚」状態の私のもとへ訪れるわけではない。
TとAが去り、しばらくしてノッポとチビのコンビがめずらしく水着姿で現れた。
ちなみに、いまさらながらだが(笑)、私が「チビ」と称している彼は別に背が低いわけではない。
彼は私とそんなに遜色ない身の丈だ。が、いかんせん、彼はノッポといつも行動を共にするので、ついついそう見えてしまうだけのことだ。
彼らの凹凸がいつも私にはおかしな存在だった。
そう、凹凸コンビ、とは彼らのための称号のようなもんである。
チビが言う。
「アンボセリから、どんどん黒人に近づいていますね〜」チャッピーと呼んでくれぃ(笑)。
「でもさ、本来、色白だから、3日もすれば、すぐ落ちちゃうんだよねぇ〜」
「い・ろ・じ・ろですかぁ〜?」
彼らは学生時代からの友人らしい。
たしか、どこかでそう聞いたことがあるような気がする。彼ら二人の名前は知らず、のままだ。
彼らは何度も呼んでくれたはずなのに。私は、つくづく了見の狭い男だと思う。
グレースの名前なら、すぐに聞き出そうとするのに・・・・・・・。
二人は2年前、はじめての海外旅行をオーロラを観に、アラスカへ行った。
「でも、オーロラは全然、見えなかったんですよ」夕食時、Mとは逆側にほとんど隣合わせたノッポ(私たち8人は暗黙の了解で、すでに食事時の席まで決まっていた。ちなみに、チビとネコがほとんど隣か向かいあわせだった――)は、背丈に似合わず、リスのような可愛らしい目をして、いつもか細く話す。
「よかったじゃん。今回は動物いっぱいゲットできて(笑)」
「あと、女の子をハンターしたいです(笑)」と、こちらは快活なチビ。
「なかなか含蓄のあること言うね。そうなんだよね!結局のところ」相槌を打つ私。
―なにが、結局のところ、だ―。今回は、妻の突っ込みを、自分でしてみた(笑)。
「ネコかKのどちらか、どぉ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」二人ともなかなか賢い(?)男たちで、その質問には乗ってこなかった。
だと、思ったら、―ゲッ―!!ネコがKを伴いこちらに向かってくるではないか。
「みんな、日光浴ですかぁ〜?」彼女をどう表現すればよいだろう、「真面目な娘ギャル」とでもしておこう。サーファーまがいの黒い顔、長い髪、派手目の化粧。でも、彼女、真面目です。
私の冗談が通用しません(笑)。だから、あんまりお話ししたことありません。
チビの隣が定番のようにネコが座り、その奥にKが座った。
Kはボリュームのある体をいつもネコの背後に奥ゆかしく隠すように行動し、また言葉を選ぶひと、だった。つまりは、一番お近づきになりたかったのに、一番言葉を交わせなかった(笑)。
とどのつまりは、私にとって、ネコはすこぶる邪魔な存在だったわけだ(笑)。
ネコが邪魔、というわりには私はネコからもらった草加煎餅をパクつきながら、ヤシの木のように動かないボーイに、空瓶を掲げて、ビールの追加を頼む。
「ンディヨ(はいな)。ハラカね(笑)」男は目を丸くし、顔をくしゃくしゃにして笑う。
「そう、ハラカ!(急いで)ね!」
男はウィンクして、建物内のバーへ消える。
昨日、2・3度目のビールの注文時、ボーイがなかなか来ないので、ポレポレ(ゆっくり)じゃない、せっかちな私はたまりかねてバーを覗いてみた。
なんと、男は栓が抜かれたビールを盆に載せたまま、掃除のおばちゃんと話し込んでいたのだった。
私は、彼を思いっきり睨みつけてやった。
ムワンギと名乗るそのボーイは私を「ハラカさん」と命名した―――。
 ビールが運ばれてきた。チップは「最後のビール」で清算して渡すことにしてある。
「タファリ(どうぞ)、ハラカさん。アサンテ・トゥタオナナ(ありがとう。またね)」
いつものように、サイドテーブルに置き、ムワンギはもとの「ヤシの木」に戻る。

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